AIDMA・AISASとは?購買行動モデルの違いを図解

「AIDMA」「AISAS」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これらは消費者が商品を知ってから購入するまでの心理プロセスを整理した「購買行動モデル」です。マーケティング施策を設計する際、どの段階にいる顧客に対して何をすべきかを考える土台となります。
購買行動モデルを理解することで、施策の抜け漏れを防ぎ、限られた予算を最も効果的なフェーズに投じることができます。本記事では、AIDMAとAISASそれぞれの概要、違い、実務での使い分けを体系的に解説します。
購買行動モデルとは何か
購買行動モデルとは、消費者が商品やサービスを「知る」から「買う」に至るまでの心理的・行動的プロセスを段階的に整理したフレームワークです。マーケターはこのモデルを使うことで、「今この顧客はどのフェーズにいるのか」「そのフェーズに最適な施策は何か」を論理的に考えられます。フェーズを意識せずに施策を打つと、認知段階の顧客にいきなり購買を促したり、すでに購入意欲が高い顧客に認知広告を見せてしまうという非効率が生じます。
購買行動モデルが生まれた背景には、「顧客の行動を段階的に理解しなければ的外れな施策を打ちやすい」という実務上の課題があります。たとえば、まだ商品を知らない人に対して「今すぐ購入」を訴求しても効果は薄いですし、すでに比較検討中の人に認知広告を打つのは予算の無駄です。適切なタイミングで適切なメッセージを届けるために、購買行動モデルは欠かせないツールです。マーケティング担当者にとって、購買行動モデルは「顧客の旅の地図」として機能します。
購買行動モデルの歴史
最初の購買行動モデルとして広く知られるのは、1898年にエルモ・ルイスが提唱した「AIDA」モデルです。Attention(注意)→ Interest(興味)→ Desire(欲求)→ Action(行動)という4段階で構成されています。その後、1920年代にはMemory(記憶)を加えた「AIDMA」が登場し、日本でも長年活用されてきました。インターネットの普及に伴い、検索(Search)や情報共有(Share)を含んだ新しいモデルが次々と提唱されるようになりました。購買行動モデルは時代の変化とともに進化してきたフレームワークです。
AIDMAモデルとは
AIDMAは、Attention・Interest・Desire・Memory・Actionの頭文字を取ったモデルで、主にマスメディア時代の購買行動を表しています。テレビCMや新聞広告など、一方向的な情報発信が主流だった時代に生まれ、消費者が受動的に情報を受け取るプロセスをモデル化しています。今日においても、高関与商品やマスメディアを活用する施策の設計で参照されます。
AIDMAの各フェーズの意味
Attention(注意)は、商品・サービスの存在を認知するフェーズです。テレビCM、屋外広告、SNS広告などが主な接触手段です。Interest(興味)は、認知した商品に対して興味・関心を持つフェーズ。「もっと知りたい」という気持ちが生まれます。Desire(欲求)は、「欲しい」という具体的な購買動機が生まれるフェーズです。商品の特徴や使用シーンが鮮明にイメージできると欲求が高まります。Memory(記憶)は、購入タイミングまで商品を記憶しておくフェーズで、リマインド広告やブランドロゴの刷り込みが効果的です。最後のAction(行動)が実際の購買です。各フェーズで適切なコンテンツと接触機会を設計することが重要です。
AIDMAが有効なシーン
AIDMAは、テレビCMや新聞折り込みチラシといったマスメディアを活用する際に今でも使われるモデルです。また、高関与商品(住宅・自動車・高額保険など)では、購入までの検討期間が長くMemory(記憶)フェーズが重要になるため、AIDMAの構造がよくフィットします。消費者が能動的に情報収集しにくいカテゴリでも有効です。たとえば、新商品の発売時に認知率を高めるためのテレビCMを打ち、次にカタログや店頭POPでDesireを高め、購入のタイミングまでブランドを記憶させるリマインド施策を組み合わせるのがAIDMAに沿った戦略例です。
AISASモデルとは
AISASは、電通が2004年に提唱したモデルで、Attention・Interest・Search・Action・Shareの5段階で構成されます。インターネットの普及により、消費者が自ら検索して情報収集し、購入後に口コミやSNSで体験を共有する行動が当たり前になったことを受けて生まれました。現代のデジタルマーケティングを考える上で最も基本的なモデルの一つです。特にECサイトやSaaSプロダクトのマーケティングではAISASが標準的なフレームとして使われています。
AISASの各フェーズの意味
Attention(注意)とInterest(興味)はAIDMAと同じです。Search(検索)は、興味を持った消費者がインターネットで情報を自ら調べるフェーズです。ここでSEOコンテンツや口コミサイトが重要になります。消費者は商品名・カテゴリ名・「○○ おすすめ」「○○ 比較」などのキーワードで検索します。Action(行動)は購買です。そしてShare(共有)は、購入した体験をSNSやレビューサイトで他者に発信するフェーズです。Shareが新たなAttentionを生むため、AISASは循環型のモデルとも言えます。この循環こそが、口コミマーケティングの本質です。
AISASにおけるSearchとShareの重要性
AISASで特に重要なのがSearchとShareの二つです。Searchフェーズでは、消費者は商品名・カテゴリ名・比較キーワードなどで検索します。このフェーズに対応するのがSEO対策やリスティング広告です。検索結果の上位に自社コンテンツが表示されるかどうかが購買に直結します。Shareフェーズは、既存顧客が新規顧客を連れてくる口コミ効果を生みます。SNSでのポジティブな体験共有は、広告費ゼロの認知獲得につながるため、マーケターはこのフェーズを意図的に設計することが重要です。ユーザーがShareしやすい仕掛け——たとえばフォトジェニックなパッケージ、SNSキャンペーン、購入後のレビュー促進メール——などを積極的に設計しましょう。
AIDMAとAISASの違いを比較する
AIDMAとAISASの最大の違いは、消費者が情報収集において「受動的か能動的か」という点です。AIDMAは企業からの一方向的なコミュニケーションを前提としています。一方、AISASでは消費者が自ら検索し、購入後にShareまで行う能動的な行動が組み込まれています。現代の消費者は、広告を受動的に受け取るだけでなく、気になったらすぐ自分でリサーチするのが標準的な行動パターンです。
もう一つの大きな違いは「Memory」と「Search」の置き換えです。マスメディア時代は、CMを見て「いつか買おう」と記憶に留めるプロセスが重要でした。しかしデジタル時代は、気になったらすぐ検索する行動が一般化したため、Memoryより自ら情報を取りに行くSearchの方が購買に近い行動となっています。また、AISASにはShareがあり、購買後の体験が次の購買サイクルに影響する点が現代マーケティングらしい特徴です。AIDMAが「線形モデル」であるのに対し、AISASは「循環モデル」とも言えます。
AIDMAとAISASの使い分け基準
商材・チャネル・顧客特性によって使い分けます。インターネットリテラシーが高く、購入前に自分で情報収集する顧客層にはAISASが適しています。ECサイトの商品、SaaS、スマートフォンアプリなどは典型例です。一方、テレビCMや折り込みチラシを主な接触手段とし、衝動買いや店頭での購買決定が多い商品には、AIDMAの方がフィットします。食品・飲料・日用品などの低関与商品では購買前の検索行動が少ないため、AIDMAで考えた方がシンプルに設計できます。
その他の主な購買行動モデル
AIDMAとAISAS以外にも、いくつかの重要な購買行動モデルが存在します。それぞれの特徴を理解しておくと、状況に応じた使い分けができます。
AISCEAS(アイスシアス)
AISCEASは、AISASにComparison(比較)とExamination(検討)を加えたモデルです。高関与商品では、検索後に複数の選択肢を比較・検討するプロセスが入ります。住宅、自動車、転職サービスなど、慎重に選ばれる商品カテゴリに適したモデルです。比較サイトやランキング記事が効果的なのはこのフェーズを狙っているためです。「比較・検討」フェーズで自社が優位に立てるコンテンツを用意することが重要な施策となります。
SIPS(シップス)
SIPSは電通が2011年に提唱したSNS時代のモデルで、Sympathize(共感)→ Identify(確認)→ Participate(参加)→ Share and Spread(共有・拡散)の流れを表します。Attentionではなく「共感」から始まるのが特徴で、インフルエンサーマーケティングやコミュニティマーケティングを考える際に有効なフレームです。フォロワーとの信頼関係を築いたインフルエンサーが商品を紹介すると、共感を起点に購買と拡散が一気に起きるのはSIPSの循環が作動しているためです。
カスタマージャーニーマップとの関係
購買行動モデルは、カスタマージャーニーマップを作成する際のベースにもなります。カスタマージャーニーマップは、購買行動モデルの各フェーズに「顧客の感情」「タッチポイント」「施策案」を加えた実務ツールです。モデルを単体で使うだけでなく、ジャーニーマップに落とし込むことで、より具体的な施策設計が可能になります。マーケター・デザイナー・営業担当者が同じ地図を持って協働できるようにするためにも、ジャーニーマップは非常に有効なコミュニケーションツールです。
購買行動モデルの実務での使い方
購買行動モデルを実務で活かすには、「自社の顧客がどのモデルに近いか」を先に判断することが重要です。ECサイトの商品なら検索・比較が多いのでAISCEASが合いやすいですし、衝動買いの多い食品・飲料ならAIDMAが適しています。SNSを中心に展開するブランドならSIPSが参考になります。
次に、各フェーズに対応する施策を洗い出します。Attentionフェーズにはディスプレイ広告・SNS広告、Searchフェーズにはブログ記事・SEO・リスティング広告、Shareフェーズにはレビュー促進・SNSキャンペーンという具合に、フェーズごとに最適な施策が異なります。この対応関係を整理することで、施策の抜け漏れを防ぎ、予算配分の優先順位も明確になります。チーム全体でモデルを共有することで、「今うちのボトルネックはどのフェーズか」という議論が具体的かつ生産的になります。
購買行動モデルをKPI設計に活かす
購買行動モデルはKPI設計にも直結します。AttentionフェーズのKPIはリーチ数・インプレッション数、Interestフェーズはクリック率・滞在時間、SearchフェーズはオーガニックセッションやCV前のページビュー数、ActionフェーズはCVR・売上、ShareフェーズはUGC数・口コミ数といった具合です。フェーズごとにKPIを設定することで、どの段階に課題があるかを数値で特定できます。「なぜコンバージョンが低いのか」を分析するときも、購買行動モデルのどのフェーズで離脱しているかを追うと原因特定がしやすくなります。KPIのモニタリングは週次または月次で行い、継続的な改善サイクルを回しましょう。
デジタル時代における購買行動の変化
スマートフォンの普及とSNSの台頭により、購買行動はさらに複雑化しています。消費者は複数のデバイス・チャネルを横断しながら情報を収集し、リアルタイムで他者の意見を参考にします。こうした変化を受けて、Googleは「ZMOT(ゼロ・モーメント・オブ・トゥルース)」という概念を提唱しました。ZMOTとは、店頭や広告に接触する前に、すでにオンラインで調査・比較・判断が終わっているゼロ番目の意思決定の瞬間のことです。
このZMOTの概念は、Searchフェーズの重要性をさらに強調します。消費者が購買を検討し始める最初の瞬間にオンラインで存在感を示せるか否かが、マーケティングの勝敗を大きく左右します。SEOコンテンツ、レビューサイト対策、SNSでの情報発信は、すべてZMOTへの対策と言えます。購買行動モデルを学ぶ際は、ZMOTも合わせて理解しておくと実務への応用がさらに深まります。また、マルチデバイス環境では同一ユーザーが複数の経路でブランドに接触するため、アトリビューション分析と組み合わせることで施策の貢献度をより正確に把握できます。
購買行動モデルを使った施策改善の事例
あるECブランドの事例を紹介します。そのブランドはSNS広告に多額の投資をしていましたが、CVRが低い状態が続いていました。AISASモデルで分析したところ、Searchフェーズで自社の商品レビュー記事がほぼなく、他社の比較記事に負けていることが判明。SEOコンテンツとレビュー促進施策を強化したところ、オーガニック流入が3ヶ月で1.8倍になり、CVRも改善しました。広告費を増やす前に、Searchフェーズの整備がいかに重要かを示す事例です。
また、あるBtoBサービスでは、展示会やウェビナーで認知獲得(Attention)はできているものの、その後のフォローが弱くDesire・Memoryへの転換に課題がありました。AIDMAモデルで課題フェーズを特定し、メールナーチャリングと事例コンテンツを整備したことで、商談化率が大幅に改善しました。購買行動モデルは、施策の抜け漏れを可視化して改善の優先順位を付けるツールとして機能します。定期的に各フェーズの数値を確認し、弱いフェーズへの投資を強化するサイクルを作ることが重要です。
購買行動モデルを活用したコンテンツ戦略
購買行動モデルはコンテンツ戦略の設計に直結します。Attentionフェーズでは広く認知を広げるSNS投稿・バイラル動画・インフルエンサーコラボが有効です。Interestフェーズでは製品紹介・使用事例・ブランドストーリーが効果的です。SearchフェーズにはSEO記事が最重要で、「○○とは」「○○の選び方」「○○比較」キーワードを狙ったコンテンツが流入を生みます。Actionフェーズでは購買の背中を押すLPの最適化・FAQ・レビュー掲載が重要です。ShareフェーズにはSNSシェア促進・レビュー投稿依頼・紹介プログラムが有効です。
フェーズ別コンテンツカレンダーを作るには、各フェーズに必要なコンテンツ種別を洗い出してから月別・週別に割り当てます。Googleアナリティクスや検索コンソールで「どのフェーズで流入が多くどこで離脱しているか」を把握し、ギャップを埋める優先順位を決めましょう。全フェーズを均等に整備しようとするより、現在最もボトルネックになっているフェーズに集中投資する方が短期的な成果につながります。
BtoB・BtoCでの購買行動モデルの使い分け
BtoCでは購買決定者が個人であるため感情的要素が大きく、AISASモデルがよくフィットします。SNSと検索エンジンを中心とした施策が有効です。一方BtoBでは複数の意思決定者が関与し検討期間が長いため、AIDMAに近い「情報蓄積→記憶→稟議→購買」という流れが一般的です。展示会で接触した見込み客が数ヶ月後に改めて検討を開始するシーンでは、リマインドコンテンツとメールナーチャリングでMemoryフェーズを維持することが成約率を高めます。BtoBでは事例コンテンツとホワイトペーパーがSearchフェーズで特に重要です。担当者が社内の意思決定者を説得するための「根拠資料」として機能するコンテンツを揃えることが、BtoBマーケティングにおけるコンテンツ戦略の核心です。
購買行動モデルを社内で共有する方法
購買行動モデルをマーケティング部門だけで使うのではなく、営業・商品開発・CSなど社内の関連部門と共有することで、全社的な顧客理解が深まります。カスタマーサポートが「Share後の顧客の声をマーケティングにフィードバックする」仕組みを作れば、Shareフェーズの施策改善に活かせます。共通の「顧客の旅」の地図を持つことで、部門間の連携が強化され顧客体験の一貫性が高まります。定期的な部門横断ミーティングでモデルを参照しながら施策レビューを行う習慣が有効です。また、新しいメンバーのオンボーディング時に購買行動モデルを説明することで、施策の目的意識を早期に醸成できます。
購買行動モデルと広告戦略の連携
購買行動モデルは広告戦略の設計においても重要な指針となります。認知(Attention)フェーズでは、リーチを最大化するためのディスプレイ広告・動画広告・SNS広告が有効です。この段階では購買への直接的な誘導よりも、ブランドや商品の存在を知ってもらうことを優先します。クリエイティブは「共感」「驚き」「好奇心」を引き出す表現が効果的で、視覚的にインパクトのあるビジュアルと簡潔なメッセージが理想的です。
Interest(興味)フェーズでは、リターゲティング広告や類似オーディエンス向け広告が効果的です。すでに一度接触した潜在顧客に対して、より詳細な製品情報や使用事例を見せることで関心を深めます。Search(検索)フェーズに対応するリスティング広告は、顕在化したニーズを持つユーザーを直接捉えられる点で非常に費用対効果が高い手法です。「○○ 比較」「○○ おすすめ」など検討段階のキーワードへの入札が特に重要です。Action(購買)フェーズに向けては、カート放棄リターゲティングや限定オファー広告が購買の最終的な後押しになります。フェーズ別に広告のクリエイティブとターゲティングを最適化することで、広告費の無駄を大幅に削減できます。
広告予算のフェーズ別配分
広告予算をAIDMAやAISASのフェーズに基づいて配分することで、マーケティングROIが改善します。一般的に、認知度が低いブランドや新商品では認知フェーズへの投資を厚くし、認知が高まるにつれてSearch・Actionフェーズへシフトすることが有効です。予算の70%を実績のある施策に、20%を試験的な新施策に、10%を新しいアイデアの実験に使う「70-20-10ルール」はGoogleが提唱した予算配分の目安として参考になります。フェーズごとのKPIをモニタリングしながら、効果の高いフェーズに予算を動的に再配分する仕組みを作ることが、効率的な広告運用の鍵です。
AIDMAとAISASを使った競合分析の方法
購買行動モデルは自社施策の設計だけでなく、競合分析にも活用できます。競合がどのフェーズに注力しているかを分析することで、自社が手を入れるべきポイントが見えてきます。例えば競合がテレビCMとSNS広告でAttentionに大きく投資している場合、自社はSearchフェーズのSEOコンテンツを充実させることで、比較・検討段階の顧客を獲得できる可能性があります。競合の広告出稿状況・コンテンツ量・SNS活動を各フェーズに分類してマッピングすることで、市場全体のコンテンツギャップが可視化されます。
競合分析をフェーズ別に行う際は、SEMrushやAhrefsなどのSEOツールを使って競合のオーガニックキーワードランキングを調査し、Searchフェーズでの強弱を評価します。SNS運用の頻度・エンゲージメント率・使用コンテンツ形式の分析でAttention・Interestフェーズを評価します。レビューサイトやApp Store評価でShareフェーズの強弱も把握できます。こうした系統的な競合分析が、「自社がどのフェーズに投資すれば競合に対して最も効率的に差を付けられるか」という戦略的意思決定の基盤となります。
購買行動モデル活用のチェックリスト
自社のマーケティング施策が購買行動モデルの各フェーズを適切にカバーしているかを確認するためのチェックリストを紹介します。Attentionフェーズについては、自社のターゲット層が普段接触しているメディア・SNS・インフルエンサーへのリーチが確保されているか確認しましょう。Interestフェーズでは、商品の魅力・使用シーン・ベネフィットを伝えるコンテンツが十分に揃っているか確認します。Searchフェーズでは、ターゲットキーワードでの検索順位・リスティング広告の出稿状況・比較サイトへの掲載状況をチェックします。Actionフェーズでは、LPのCVR・購入フローの改善余地・カート放棄率の把握が必要です。Shareフェーズでは、購入後のレビュー促進施策・SNSでのシェア状況・NPS測定の仕組みがあるかを確認します。これらを定期的にレビューするだけで、マーケティングの抜け漏れが大幅に減少します。
購買行動モデルを使った年次マーケティング計画の立て方
年次のマーケティング計画を立てる際にも購買行動モデルが役立ちます。前年度の各フェーズのKPI実績を振り返り、「どのフェーズで目標を達成できたか、どこで課題があったか」を分析します。例えばAttentionフェーズの認知率は改善したがSearchフェーズでの比較検討時に離脱が多かった場合、今年度はSearchフェーズのコンテンツ強化に重点投資するという判断ができます。フェーズ別の課題を明確にした上で、年間施策カレンダーに落とし込むことで、実行可能かつ効果的な計画が作れます。
購買行動モデルへの理解が深まると、施策の「なぜ」が明確になり、チーム全体のマーケティング思考力が上がります。まずは自社の主力施策を各フェーズに分類し、どのフェーズが手薄かを可視化するところから始めてみましょう。小さな一歩が、体系的なマーケティング戦略への大きな前進につながります。フェーズの概念が共通言語となれば、施策の優先順位や予算配分の議論もより建設的になります。ぜひ今日から試してみてください。
購買行動モデルを活用したマーケティングは、顧客体験の質を高めるだけでなく、チームの施策議論をより建設的にする共通言語としても機能します。フェーズを意識した施策設計を続けることで、限られた予算と人員でも最大限の成果が出せるマーケティング組織を作れます。
購買行動モデルの理解は、マーケターとしての基礎力を示す重要なシグナルです。採用面接でもよく問われるテーマですので、AIDMAとAISASの違いと使い分けをしっかり説明できる状態にしておくことをお勧めします。
まとめ
AIDMAはマスメディア時代の受動的な購買プロセスを、AISASはインターネット時代の能動的な購買プロセスを表したモデルです。どちらが優れているというわけではなく、自社の商材や顧客特性、活用チャネルに合わせて使い分けることが重要です。
購買行動モデルは「顧客の今いるフェーズ」を可視化するための地図です。施策立案、KPI設計、課題分析のあらゆる場面でこの地図を活用することで、マーケティングの精度は格段に上がります。まずは自社の主力商品・サービスをAISASかAIDMAのどちらかに当てはめて考えてみることから始めてみましょう。フレームワークを「知っている」から「使いこなせる」へのステップは、実際に手を動かすことでしか縮まりません。購買行動モデルへの理解が深まるほど、顧客視点での施策設計力が高まります。

